「クジラの唄が聞こえない」
1月14日
結局今日も晴れませんでした。風速は13mから10mまで下がりましたが、なかなか気圧が上昇しません。今日から明日にかけて、南緯64度のライン上で、東経106度50分から109度までの間の8測点で、海底直上までのCTD観測を行います。測点間の距離が短く、観測と観測の合間が1時間半程度(観測時間は約3時間)ということで、なかなか大変な観測です。
ところで、本航海では、今までに私が経験したことのないくらいクジラが頻繁に現れます。私が見たのはザトウクジラだけですが、目視観測隊長の岩田さんによれば、ナガスクジラ、シロナガスクジラ、イワシクジラも現れたそうです。今日も、観測中にすぐそばにザトウクジラが現れました。岩田さんは、停船観測のたびにハイドロフォンを下してクジラの声を録音しようとしています。写真は岩田さんがハイドロフォンを垂下しているところ(錘の上にある小さなもの)と収録音をモニターしているところです。岩田さんの博士論文はオットセイの生態に関する研究だそうですが、なんとなく風貌が似ていると思いませんか。人懐っこい性格で女性にも人気があります。女性と言えば、本船には大勢乗船しています。まず、船舶職員では、28人中の4人、専攻科は30人中10人、研究関係では18人中12人、合わせて76人中の26人です。船は男の世界というのは昔話ですね・・・と脱線です。クジラの出す音としては、仲間同士の会話に使われるものと、餌を探すときに使われるものがあります。テレビなどでよく放送されているのは前者で「ウィィィィーン」といった感じの音です、これは主に繁殖海域である熱帯・亜熱帯海域で聞かれるもののようです。後者は「カチッ カチッ」といった感じの音で、餌を食べに回遊してくる南極海では、よく聞くことができるのではないかと思われます。海鷹丸もいろいろな音を出しています。エンジンの音もあれば、測深器や船底に設置されているドプラー流速計、魚群探知機などから出る超音波などもあります。周波数を解析しないとはっきりしませんが、クジラの出す音はどうもとれていないようです。チャンスはもう僅かですが。(石丸)


岩田さんは海鷹丸で南極に行くのは初めてで、実は船には弱いひとなのです。がんばれ岩田さん。(茂木)
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