餌をくれる
2008年1月16日、海鷹丸から撮った写真です。キバナアホウドリです。観測を終えてフリーマントルに向かう途中、南極海というにはだいぶ北のむしろオーストラリアに近い場所で撮りました。翼を広げると2メートル以上になります。こんな巨大な鳥がしばしば船に近付いてきます。カメラ目線をくれるので素人の私にも迫力ある写真が撮れます。しかし、これらのアホウドリはなぜ船に近付いて来るのでしょうか。じつは、彼らは漁船が不要な魚やイカを捨てたり、網からこぼれたりすることを知っていてそれをねらっているといわれています。だから、船を見つけると餌があるのではないかと思ってわざわざ遠くから近づいてくるのです。残念ながら海鷹丸は漁船ではないので空振りだったことになります。
最近、面白い研究がありました。アホウドリはよくイカ類を食べていることが知られています。イカは水面付近にいることはあまりなく、しかも遊泳速度が速いので、海鳥とはいえそう簡単に捉えられる生物ではありません。極地研らのメンバーで行われたこの研究では、アホウドリのなかまに自動撮影装置つきのカメラを取り付け、あとで巣に戻ってきたところを回収することに成功しました。写真には鳥の目で見てきたものが写っているはずです。そこには、シャチの大きな背びれが写っていました。なんとシャチを追いかけていたのです。カメラに付けた深度センサーや水温センサーのデータと合わせると、かれらはどうやら少し潜ってシャチが食べた餌生物の残りものを食べているらしいことが分かったのです。おそらく、シャチの大きな背びれが水面から出ているのを遠くから探していたのです。そう、アホウドリにとっては、船もシャチも餌をもたらしてくれるという意味では同じなのではないでしょう。
