バランス
先日のナンキョクオキアミの話のなかで「膨大な資源量」と書きましたが、我々の観測でも写真のように一網で大量に採集されることがあります。このように大量に採れる海域には不思議なことに、カイアシ類などほかの動物プランクトンが少なくなる傾向があります。これは、大量のオキアミが餌となる植物プランクトンを食べてしまい、同じくそれらを餌としているカイアシ類などが生息できない、あるいは単に空間的な競合があるなど、いくつかの要因が複合的に働いているためと考えられます。このように、生物の分布は「食
う-食われる」などの相互関係によって成り立っており、一部の種が急に増加したり、減少したりすることによってバランスが壊れます。しかし、これが一定範囲の増減であれば、同じ相互作用によってバランスをとり戻すことができます。南極海の生物は数千万年かけて、この生態系を進化させてきました。その生態系を人間は200年で壊そうか、としているところです。
本日、日本南極地域観測隊ご一行が成田を発ちました。オーストラリアはフリーマントルで「しらせ」に乗船し、南極へ向かいます。みなさん、ご無事で。

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