エビとはちょっと違います

オキアミという生物をご存知でしょうか。エビのような生き物ですが分類学的にはやや異なります(釣りの餌に使われるこのオキアミを、以前わたしが住んでいた広島県では実際に「エビ」と呼んでいました)。南極海には数種類が生息していますが、なかでもナンキョクオキアミ(写真)という種は膨大な生物量を誇っており、ペンギンやヒゲクジラ類をはじめ、魚類など多くの生物がナンキョクオキアミを食べて暮らしています。実際には「食べて」なんというのん気なレベルではなく、ほとんど「依存」しているといってよいか
もしれません。そのため、ナンキョクオキアミの分布や生物量は生態系全体に大きな影響を与えることから、彼らはKey species(鍵種)と呼ばれます。その膨大な資源量はペンギンやクジラのみならず、当然ヒト科のヒト(Homo sapiens)にも注目され、食料として利用できないものかと、ずいぶん研究され漁業も行われた時期もありました。かくいう私も、20年前に大洋漁業のトロール船にオブザーバーとして乗船したことがあります。採算が合わなかったのか、利用価値が見出せなかったのか、日本は今ではほとんど撤退したようです。ヒトはヒトの都合ですぐオキアミを食べることをあきらめましたが、ペンギンやクジラは、氷の浮かぶ海で今日もお腹いっぱい食べています。
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