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東京海洋大学南極観測隊を紹介するブログです。昨年、海洋大「海鷹丸」ウェブページ内で「ペンギンさん、そこのけそこのけ海鷹丸が通る」というタイトルで綴っていたものの続編です。(今年は大学非公認)

「今日も長い一日」

今日も朝から暑い。街灯の日陰に一列に並んで体操する横着な研究員。あれ、局長(通信長)も混ざっていました。体操の後ですぐに設営開始。観測機材の準備は半年前からやっているのに、不足しているものや不具合が出てきて出航前はいつも大変です。必死に働いて夕方には大体終了。すっかり片付いて研究室らしくなりました。18時すぎに外出。日曜日なので店はほとんどしまっていて買い物はできません。今回も観光はなしです。エスプラネード広場には観覧車が登場していました。そこを通過して、巨大ビアホールのリトルクリーチャーに集合。生ガキやマッセルの料理で生ビールとワインを堪能しました。フリマントル最後の夜は、こうして更けていくのでした。

「今日も長い一日」
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テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

2012-12-31 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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「はるばる来たぜフリマントル~」


成田を発ったのは昨日の20時ごろ、フリマントルについたのは13時(現地時間12時)過ぎで17時間の長旅でした。おまけに、昨日の東京は、気温が0度に近い寒い朝だったのに、ここは熱波の影響で連日40度という気の遠くなるような暑さです。それでも、みんな元気そうです。乗船後、入国手続き。船内生活の注意をチョッサー(チーフオフィサー:一等航海士)から受けたのち、倉庫から私物を各部屋に運んで整理。
ホバートにあるオーストラリア南極局から、グラハム ホージーさんが来てくれました。メルボルン経由でパースに来たそうで、5時間かかったそうです。オーストラリアは広いですから・・・。ホージーさんとは15年来の付き合いで、飲み仲間、じゃなくて研究仲間です。海鷹丸南極海航海にも2回参加しました。12月初めまで海洋大や極地研に滞在していたし、しょっちゅう会っている感じです。
17時過ぎに三々五々街に出かけました。私がフリマントルに最初に来たのは1994年です。海鷹丸Ⅲで(現船はⅣ) 湾岸戦争後のアラビア湾(ペルシャ湾)の環境調査を行い、ほとんどの人はバーレーンのマナマで下船したのですが私はアラビア海とインド洋調査のため引き続きコロンボ経由でフリマントルまで乗船しました。フリマントルは当時に比べるとすっかり観光地になりました。サラマンカ街のセール アンド アンカーは外せないので、ちょっと覗いてみました。生物チームは、その後、場所を移してシーフードとピザを食べました。長い一日の終わりです。

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2012-12-28 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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あとはよろしく


KARE16隊員総勢18名、いよいよ成田空港第2ターミナルから出発です。年末の押し詰まった時期ですが、ここからは彼らにのんびり休暇を過ごす時間はありません。次に帰国するのはおよそ1か月後です。安全第一ですが、よいデータが取れることを祈っています。成田の気温は摂氏3度、フリーマントルは39度(最高)、そして正月には気温0度の世界です。皆さん、体調を壊さないように気をつけて。飛行機ではゆっくり休んでください。呑み過ぎないように。便りを待っています。

あとはよろしく
2012-12-28 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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「結局、かわいい」


きょうはメリークリスマス!というのに補講をしていました。学生に嫌がられるのを懸念して堅いいつもの授業スタイルはやめ、DVD上映とその解説、といったちょっとゆるめの授業にしました。BBC作成のシリーズもので、タイトルは「FROZEN SEAS」。北極海と南極海の自然や動物を扱ったものです。じつは私も昨晩初めて見たのですが、魚が一尾も映っていませんでした(ちなみに、この授業は「魚類学」。まあいいか。)。さすがBBC!と言った感じで、映像はすばらしいです。しかし、どうしても出てくるのはホッキョクグマ、ホッキョキツネ、ペンギン、アザラシ、クジラといった、そう高次捕食者たちです。このDVDではナンキョクオキアミがどうにかがんばって出演していましたが、他の私たちの小さな仲間たち(プランクトンや魚)は、オキアミ以外まったく出てきません。高次捕食者はタレントとして絵的に使いやすいので、この手のドキュメンタリーに頻繁に使われます。しかし私たちは、食物網の中で彼らを支えているプランクトンや魚類に焦点を当てて研究を進めており、これについては完全にぶれることはありません。ほんとです。とはいうものの、このDVDに出てくる動物たちの可愛さったら、それはもう、完全に、やられますよ。すみません。
海鷹丸は明日フリーマントル入港です。


kawaii.jpg
2012-12-25 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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TTP問題


南極海では、観測中や航走中に、海鳥類はもちろんのこと鯨類やアザラシをしばしば目にします。この高次捕食者の分布は、動物プランクトンや魚類の地理的な分布のみならず鉛直分布にも深く関与しています。私たちは10年近くにわたり南極海の動物プランクトンや魚類の生態や分布について研究してきましたが、これまでこの高次捕食者については専門家がいなかったこともあり、手を出さずにいました。しかし、生態系の研究が進行するに従って、どうしてもここを押さえたいという気持ちが強くなっていました。そして、ついにKARE16で、まず手始めにこれらの目視調査(センサス)を行うことになりました。私が乗船しないにも関わらず、です。この新たな研究課題に中心的に取り組んでくれることになったのは東京海洋大学海洋観測支援センターの岩田博士です。岩田さんは国立極地研でアザラシの行動生態の研究で、博士号を取ったばかりの若い研究者です。その若さをいいことに斬新なアイデアで我々を困惑させることもありますが、いつもなかなか意欲的です。高次捕食者の中でも我々が注目しているのは飛翔性海鳥です。いちいち飛翔性というのは南極海には非飛翔性海鳥のペンギンさんがいるからです。今回はセンサスのみですが、近い将来、彼らをとっ捕まえて、食べ物を調べたり(胃内容物調査)、食物網を解明するための組織標本を採取したりする計画を立てています。この大型プロジェクトは「鳥をとっ捕まえるプロジェクト」(TTP)と命名されています。さて、飛翔性海鳥は南極海まで行くと種数はあまり多くないのですが(個体数は多い)、やはり飛んでいる鳥を同定しようというのは初心者の我々にはたいへんな作業です。そのため初心者でもできるだけ科学的なデータを取れる方法論を構築し、さらに同定のポイントを覚えなくてはなりません。写真は、昨日の壮行会の直前まで行われていた勉強会の様子です。中央が岩田さん。みんな、がんばれ~。

TTP問題

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2012-12-23 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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日本代表チーム


きょうはKARE16の研究者の壮行会です。メンバーは海洋大と極地研の学生と教員からなる18名。6日後の27日に出発です。およそ1年にわたって計画を立て、今年だけでも2回の国内航海で観測機器類の調整などを行ってきました。1956/57年に「海鷹丸」と「宗谷」が初めて南極航海に行った当初はまさに命がけだったはずです。さすがに今では気象情報や海氷分布などの衛星画像が入手できるほか、船の安全性能も向上しているので、以前ほど危険はありません。しかし、それでも細かい海氷の分布は衛星からでは完全に把握することはできず、雲があったら可視画像は意味がありません。天気図も日本周辺のように密な情報にもとづいたものではないため、信頼性はまだまだ低いのが現実です。今回のメンバーは南極航海に参加する学生や久しぶりに南極に赴く教員もいますが、隊長の北出先生は6回目、観測支援センターから参加の高澤さんにいたっては12回目の南極です。経験値は様々ですが彼らが日本代表チームです。
日本代表
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2012-12-22 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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熱い視線

ときどきここで登場するナンキョクオキアミとともに、南極海の生態系のなかでひじょうに重要な動物プランクトンにこのサルパがいます(写真:戸田さん・小野さん撮影)。尾索類というグループに属するこの生物は数センチで、ゼラチン質の体をもっています。植物プランクトンをかなりな速度でこし取って食べます。ときにきわめて濃密な群れをつくるため、ほかの動物プランクトンに対する影響は大きいものがあります。無性世代と有性世代を繰り返すというややこしい生活をしています。このサルパは南極海...ではナンキョクオキアミよりやや北側に分布しているのですが、地球温暖化と関連してその分布域が南に移動しているといわれています。同時にナンキョクオキアミの分布域にもかかってくるわけですから、これら生態系に対するインパクトの大きい2種の中長期的な分布域の変動は、南極海全体の生態系変動に直接かかわってくる可能性があります。こんな地味な生物ですが、南極海生態系を研究する世界中の学者がいま熱い視線を送っています。
salpa thompsoni

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2012-12-19 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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コオリウオ

2008年2月3日に、アデリーランドと呼ばれる地域の大陸棚海域で採集された、コオリウオの仲間の稚魚です。稚魚といっても37 mmくらいあるので稚魚としてはかなり大きいです。頭部や内臓周辺などを除いて色素に乏しくほとんど半透明な体は、浮遊期の魚の特徴をよく備えています。この魚の親は底生生活を送りますが、子供は表層から中層をあまり泳がずに漂うようにして暮らしているものと思われます。しかも、その浮遊生活期間は1年かそれ以上にわたる場合もあります。浮遊期の特徴をよく備えていると書いたばかりですが、頭部は、その貧相な胴体にくらべて大きくよく発達しています。よく観察すると、顎の骨格は発育が進み、鋭い犬歯状の歯が生えそろっています。一方その胴体にはあるはずの脊椎骨がまだ出現していません。筋肉は丈夫な骨格が無いと支えられませんから、この稚魚は普通の魚のように泳ぐことが出来ないはずで、なのに顎だけ立派なのです。おそらく彼らは水の中で漂いながら餌の動物プランクトンが近寄るのを待っていて、近づいてきたらその大きな顎と鋭い歯で食いつくのでしょう。もともと飢餓にも強いと考えられ、餌を探して泳ぎまわることより待っていたほうが、エネルギー効率がよいものと思われます。これは餌の少ない深海に生きる生物がよく取る戦略です。南極海はオキアミや鯨類で代表される豊かな海のように思われがちですが、オキアミが生息する海域以外は、生物量はきわめて小さいと考えられています。じつはこのコオリウオの胃内容物を調べるとかなり高頻度で同種のコオリウオが出てくることがあります。共食いです。魚の世界では割とあることです。


kooriuo.jpg

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2012-12-17 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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冬の海では

海洋観測では、24時間観測が普通に行われます。といっても、もちろん交替で寝る時間は取ります。南極海の観測でもそれは同じですが、少しだけ他の海域と違うのは、いつ起きてもたいてい外が明るいことです。そうです。我われが南極に行くのは真夏なので、太陽はほとんど沈まないか、沈んでもすぐ出てきます。写真は南極大陸です。太陽は沈むところなのか出てくるところなのか良く分かりません。24時間観測の最中では、時計が4時だとしてもそれが明け方4時なのか夕方4時なのか、よく分からない、というかどうでもよくなることがあります。ちなみに、真夜中でも沈まない太陽のことをmid-night sunといいます。真夜中の太陽、です。ちょっとそんな風に呼ばれてみたい、とは思いませんか。思いませんね。
極域では、夏は太陽が出ずっぱりだし、逆に冬は太陽が全く出なくなるわけです。この太陽の出る出ないは、植物プランクトンによる光合成が一日中行われるか、あるいは一日まったく行わないか、という極端な季節変化につながります。植物プランクトンの光合成は海洋では生態系の基礎となり、動物プランクトンも魚類もペンギンもクジラも、すべての生物がこの植物プランクトンの基礎生産に乗っかっています。そのため夏には生物活動が活発になりますが、冬の南極海は真っ暗なうえに氷に覆われてしまいます。こんな海で動物プランクトンや魚類はいったいどうしているのでしょう。実際、海洋観測船はそんな海に近付くことはできず、彼らの冬の生活はほとんど分かっていません。

朝焼け夕焼け

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2012-12-16 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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餌をくれる

2008年1月16日、海鷹丸から撮った写真です。キバナアホウドリです。観測を終えてフリーマントルに向かう途中、南極海というにはだいぶ北のむしろオーストラリアに近い場所で撮りました。翼を広げると2メートル以上になります。こんな巨大な鳥がしばしば船に近付いてきます。カメラ目線をくれるので素人の私にも迫力ある写真が撮れます。しかし、これらのアホウドリはなぜ船に近付いて来るのでしょうか。じつは、彼らは漁船が不要な魚やイカを捨てたり、網からこぼれたりすることを知っていてそれをねらっているといわれています。だから、船を見つけると餌があるのではないかと思ってわざわざ遠くから近づいてくるのです。残念ながら海鷹丸は漁船ではないので空振りだったことになります。
最近、面白い研究がありました。アホウドリはよくイカ類を食べていることが知られています。イカは水面付近にいることはあまりなく、しかも遊泳速度が速いので、海鳥とはいえそう簡単に捉えられる生物ではありません。極地研らのメンバーで行われたこの研究では、アホウドリのなかまに自動撮影装置つきのカメラを取り付け、あとで巣に戻ってきたところを回収することに成功しました。写真には鳥の目で見てきたものが写っているはずです。そこには、シャチの大きな背びれが写っていました。なんとシャチを追いかけていたのです。カメラに付けた深度センサーや水温センサーのデータと合わせると、かれらはどうやら少し潜ってシャチが食べた餌生物の残りものを食べているらしいことが分かったのです。おそらく、シャチの大きな背びれが水面から出ているのを遠くから探していたのです。そう、アホウドリにとっては、船もシャチも餌をもたらしてくれるという意味では同じなのではないでしょう。

キバナアホウドリ

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2012-12-13 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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もうしばらくの辛抱

Facebookは始めたばかりですが、おもしろいものですね。身近な人も何年も会っていない人も、会ったこと無い人も読んでくれているのですから。この場を借りて感謝いたします。このページは海鷹丸の南極航海を宣伝するために作りました。といっても大学のためにやっているのでは無く(もちろん大学非公認です)、自分たちの南極海研究を多くの方に知ってもらい研究を盛り上げることが目的です。皆さまには少しでも楽しんでいただければ幸いです。
KARE16(Kaiyodai Antarctic Research Expedition 16th)のメンバーとして海鷹丸に乗船する研究者は12月27日にオーストラリアはフリーマントルに向かい、そこで合流します。そこから先は毎日南極海からのメールを日本で受信し、このページと大学のウェブサイトに掲載していきます。つまり、ほぼリアルタイムのレポートが現場から届きます。これは生々しいですよ。ですので、もうしばらく私の駄文とこんな写真に辛抱してください。


もうしばらくの辛抱

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2012-12-11 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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一枚の写真


2008年1月、海鷹丸がフランスのデュモン・デュルビル基地の近くに投錨したとき撮影した写真です。だいぶ遠くから望遠レンズで撮影したものですが、分かりますか?ゴマ粒のようにみえるのはアデリーペンギンです。ここはアデリーペンギンの繁殖地(営巣地)で、おびただしい数のペンギンが卵を抱いて、ヒナを育てています。さらによく見ると、丘の上の方、ペンギンが集中している場所の周辺は赤茶色になっています。これはオキアミを食べたペンギンの糞の色です。ペンギンは、先日紹介したオキア
ミを主に食べているためその糞も赤くなるのです。そして、そして、そのペンギンの営巣地の上空には鳥が飛んでいます。これは、ペンギンのヒナや卵をねらうオオトウゾクカモメです。そう、この写真一枚の写真に、オキアミ→ペンギン→オオトウゾクカモメ、という南極では基本的な、海の基礎生産(植物プランクトン、オキアミの餌)が、オキアミを介して高次捕食者までつながるという食物連鎖が一枚の写真に表れています。このように、基礎生産から高次捕食者まで比較的短いリレーでつながる単純な生態系(食物連鎖)は南極海の典型とみられていました。それは、先日もここで書いたように、ナンキョクオキアミの膨大な生物量に支えられています。しかし、近年では南極海の生態系も必ずしもそんな単純では無い、ということが徐々に分かってきており、それをさらに深く解明することが海洋大の南極海生態系研究チームの、大きな研究テーマのひとつとなっています。

一枚の写真
2012-12-10 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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荒ぶ海を越えて

海鷹丸は数日前からインド洋東部でマグロ延縄の実習に入っているようですが、あまり獲れていないみたいですねえ。がんばれ~!
海鷹丸は南極海に向かう際にタスマニアのホバートや西オーストラリアのフリーマントルという港をしばしば利用します。かつて、これらの港はミナミマグロをねらう日本の漁船の基地として使われていましたが近年はほとんど見ることが無くなりました。ミナミマグロはいわゆる暴風圏にも分布するためその漁はきわめて過酷だったようです。この暴風圏は南緯40度から60度くらいに位置し、慢性的に低気圧に覆われる場所です。南極へ行くにはどうしてもここを通らなくてはなりません。「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」などと呼ばれ、船乗りに恐れられてきた場所です。写真のように海鷹丸の船首も強い波で洗われます。暴風圏を通過した翌朝、このデッキでハダカイワシを拾ったことがあります。暴風圏では魚もたいへんなのですねえ。

暴風圏

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2012-12-07 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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訓練ですよ


きょうは「ひよどり」という19トンの小さい実習艇で海洋観測を行いました。東京海洋大学は南極海の研究のみならず、東京湾の環境モニタリングも長年重要視してきました。今回も毎月行っているモニタリングの一環です。きょう乗船した学生は、修士課程の学生と学部の4年生と3年生の合計9人です。最近の私はもっぱら南極海の生態系の研究にうつつを抜かしていますが、これまで、 並行して東京湾や相模湾の研究も行ってきました。実は、この9人の学生のうち5人の研究テーマは南極海の生物です。海洋観測はとても一人でできるような作業ではないので、このように異なる研究テーマをもった学生がお互いの観測を手伝うことが普通です。また、経験の乏しい学生をいきなり南極海に連れていくこともできません。様々な機会を利用して普段から観測の経験を積み、頭と体で海洋観測を覚えます。きょう乗船していた修士課程の学生はKARE16の隊員として間もなく南極海に向かいます。4年生は来年度、3年生は再来年度の隊員候補です。写真では、きょう初めて研究室の海洋観測に参加する3年生が、先輩にサンプル処理を教わっています。がんばれ新人! 南極海へ行くその日まで。

訓練です

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2012-12-05 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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海鷹丸と南極の歴史


海鷹丸が初めて南極に行ったのは1956年のことです。そうです。これは第1次日本南極地域観測隊として「宗谷」がタロとジロを乗せて南極に向けて出航した年と同じです。海鷹丸は、実はその「宗谷」の随伴船として南極海に赴きました。突貫工事で作られた「宗谷」では、ほんとうに南極の氷海を突破できるのか、みな不安だったのです。そこで海鷹丸が後方支援のために宗谷に同行したのです。いまの海鷹丸は4代目になりますが、このときの海鷹丸は2代目です。写真の右後方に見えています。この写真は1956年のも
のかは定かではないのですが、かなり初期であることは間違いないでしょう。全員で万歳三唱しています。左に制服を来て整列しているのが専攻科の学生でしょう。中央の後ろ姿、壇上の男性は不明ですが、何やらえらい人であることは間違いありません。そのえらい人のすぐ右の最前列には外国人が二人並んでおり、軍人でしょうか。ひとりは制帽をかぶっています。何人ものカメラマンの姿も見えます。今でも南極に行くのはたやすいことではありませんが、まだ敗戦から立ち直りつつある当時の日本ではたいへんな事業だったはずです。また、国際社会の一員として日本が復帰するといった意味で国内は大いに盛り上がったことでしょう。この見送りはそれを物語っています。
企画展「練習船-知られざる海洋観測の担い手-」が東京海洋大学の水産資料館で今日からスタート。12月21日まで開催されます。お近くの方はぜひお立ち寄りください。https://www.kaiyodai.ac.jp/event/1101/17828.html

昔の出港風景

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2012-12-03 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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世界の海鷹丸


きのうは、国立極地研究所で南極海におけるオーストラリアと日本の共同研究についての会議がありました。「しらせ」は南極観測船として知られていますが、その最も重要な任務は昭和基地への補給です。食料や燃料のほか、観測隊員の輸送を行っており、しらせでの海洋観測の優先順位は低くなっています。オーストラリアはAurora Australisという立派な砕氷船を南極海で運航していますが、オーストラリアも5つの基地を南極海に持っており、そのミッションは、海洋観測のほかにも多岐にわたることは想像
に難くありません。そのような状況下で、海鷹丸に対する世界の海洋学者の期待はオーストラリアのみならずきわめて大きいものがあります。東京海洋大学は2008年にオーストラリアとフランスと共同で、大きな研究観測プログラムを南極海で行いました。この研究プログラムは多くの目覚ましい成果を生み出し、UMITAKA-MARUの名は世界中の南極海の研究者に知られるようになりました。写真はその航海のときのものです。すべての観測を終えたあと、陽気なフランス人と海鷹丸のデッキにて。

陽気なフランス人と

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2012-12-02 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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